アボルブ (一般名:デュタステリド dutasteride)
アボルブとは

アボルブは、日本では前立腺肥大を改善する治療薬として認可されていますが、その主成分であるデュタステリドには、AGA(Androgenetic Alopecia)の進行を抑制する効果があることが知られています。アボルブは、2001年にはアメリカ合衆国、2006年にはヨーロッパ諸国、そして2009年には日本で厚生労働省の認可を得て処方されてきたという歴史があります。日本では優れたAGA治療薬として知られているザガーロと同様の成分・容量であり、イギリスのグラクソ・スミスクライン社が製造・販売している薬剤でもあります。つまり、アボルブとザガーロは、日本における治療薬としての認可が違うだけであり、その効果・効能は同様である為、使用用途の記載が違うだけの同じ薬剤です。
※現在はアボルブジェネリック(デュタステリド)が発売されています。
AGAとは
AGAとは、成人男性に多くみられる頭髪が薄くなっている状態のことであり、男性型脱毛症と呼ばれます。髪の毛は、新しく生えて伸びる(成長期)→生産力が衰え続ける(退行期)→毛髪の活動が停滞する(休止期)を繰り返しており、これをヘアサイクルと呼びます。このヘアサイクルが乱れることによってAGAは進行していき、思春期以降に額の生え際や頭頂部のどちらか一方、もしくは双方から薄くなっていく特徴があります。AGAの原因物質はDHT(ジヒドラテストステロン)という活性型の男性ホルモンであり、頭髪の成長を抑制するということが判明しています。AGAの主な原因は遺伝や男性ホルモンと推測されているものの、直接的な原因は不明と言われています。
アボルブの効果・効能
アボルブの効果・効能は、現状生えている太く強い髪の毛が抜けることを抑制し、現状を維持することです。AGAの原因物質であるDHTを作り出す5α-還元酵素にはⅠ型とⅡ型の2種類がありますが、AGA治療薬として有名なプロペシア(主成分:フィナステリド)は5α-還元酵素Ⅱ型のみを阻害する効果があることに対して、アボルブには5α-還元酵素Ⅰ型、Ⅱ型の両方を阻害する効果があります。そのため、プロペシアよりもさらに強力に抜け毛を防ぎ、発毛効果を実感できる薬剤と言い換えることが出来ます。また、アボルブを服用し始め2~6週間が経過した頃、初期脱毛という一時的に抜け毛が増える現象が起こる可能性がありますが、DHTによって乱れたヘアサイクルを戻すために起こっているものであり、細く弱い毛を抜くことで健康的な髪の毛を生やすための準備段階にあたるため、全く問題ありません。アボルブは、AGA治療を行う上での選択肢として非常に有効な薬剤と言えます。
服用方法と注意点
1日1回、1カプセル(主成分0.5mg)を服用します。アボルブは比較的食事の影響を受けにくい薬剤ですので、食前・食後を問わず、ご自身で決められた時間やタイミングで服用するようにして下さい。注意していただきたい点は
①服用時間が過ぎた場合はなるべく早めに服用するようにすること、その際、次回の服用時間が迫っている場合には服用をやめ、次回の服用時間に忘れないように1カプセルを服用すること
②カプセルの内容物が口腔咽頭粘膜を刺激する可能性があるため、カプセルの中身を開いて取り出したり、噛むことで内容物が飛び出さないようにすること
③アボルブの主成分:デュタステリドは皮膚から吸収される特性があるため、妊婦が触れないようにすること
④小児等の未成年への安全性も確認が取れていないため、妊婦と同様に触れないようにすること
です。間違っても1度に2カプセル以上を服用してはいけません。また、妊婦の子供への影響、特に男性胎児の生殖器の発育を妨げるリスクが考えられ、妊婦のご主人がアボルブを服用している場合には特に注意が必要です。
副作用
アボルブの主成分であるデュタステリドは、男性ホルモンに影響を与えるため、服用した際に懸念される副作用があります。主な副作用として挙げられるのが、ED(勃起不全)、リピドー減退、肝機能の低下などです。EDやリピドー減退に関しては、アボルブの服用をやめることで改善が可能ですし、EDの症状のみであればED治療薬を服用することで改善が可能です。ただし、肝機能の低下に関しては、肝臓の代謝が上手く機能せずに悪影響を与えることが考えられるため、危険です。肝機能の障害をお持ちの方でアボルブの服用をお考えの方は、病院やクリニック等の医療機関へご相談ください。