EDには機能性ED(心因性ED)や器質性ED、混合性ED、薬剤性EDなど様々な種類があります。EDの種類によって治療法が異なる場合もあるので、EDになってしまった場合自分がどのEDに分類されるのかを把握する必要があります。
今回は身体機能の障害によって引き起こされる「器質性ED」についてお話します。
EDとは
器質性EDのお話をする前に、EDについてお話を先にしておきましょう。そもそもED(勃起不全)とは、「勃起機能の低下」を意味する英語Erectile Dysfunctionの略です。専門的には「性交時に十分な勃起が得られないため、あるいは十分な勃起が維持できないため、満足な性交が行えない状態」とされています。つまり、勃起が起こらないケースはもちろんのこと、硬さが不十分、勃起状態が維持できないなど、満足な性交が行えるだけの勃起が得られない状態は、いずれもED(勃起不全)となります。
1998年に行われた調査によると、中等度ED「たまに勃起、性交中勃起は維持できる」と、重度ED「勃起せずに性交不可能」の日本人男性(成人)は、約1130万人でした。年代別に見ると、なんと日本人男性の40歳代の5人に1人、50歳代の2.5人に1人、60歳代の1.7人に1人が中等症以上のED(勃起不全)ということになります。ED(勃起不全)は身近な疾患と言えます。
器質性EDの特徴
EDの原因として心の問題によってなると言われていますが、物理的な身体の障害が原因で引き起こされるEDもあります。医学的には、それらをまとめて器質性EDと呼んでいます。血管・神経・内分泌・外傷などの物理的な要因によってなってしまうEDの事を総じて器質性EDと呼んでいます。
具体的には、勃起に関わる各神経、組織、血管系、または陰茎自体の異常などの解剖学的な問題が原因で発症するEDを指します。また、男性ホルモンの分泌阻害によって発生する内分泌性障害や陰茎折症・脊髄損傷など、外傷の後遺症として発生する性機能障害も器質性EDに含まれます。
器質性EDの種類
器質性EDは、身体の機能や器官によって、さらに細かく分類されています。器質性EDとして分類されているのは以下の4つです。
血管性のEDとは
勃起というものは、性的興奮を受けることによって脳が陰茎に勃起するよう信号を送り、そして陰茎の海綿体に血液が充満することで起きる反応です。血管性のEDは、海綿体の動脈硬化や勃起時の整脈閉鎖機構の機能障害、骨盤外傷、手術後の血流障害など、海綿体への血液の流入が制限されることで発症します。
神経性のEDとは
勃起は、性的興奮を受け脳からその刺激を陰茎に伝達することによって起こりますが、何らかの原因で神経伝達部分に問題が発生すると、勃起がうまくできずEDとなってしまいます。主な原因として「中枢神経の障害」、「脊髄神経の障害」、「抹消神経の障害」の3つが、神経性EDの主な原因とされています。
内分泌性のEDとは
内分泌性EDとは、 ホルモン分泌の亢進や低下などの分泌異常によって発生するEDを指します。 内分泌性EDはED患者の方の5~35%を占めると報告され、 比較的大きな原因因子の一つとなっています。 内分泌はおおまかにいうと、男性ホルモンのテストステロン等のホルモン分泌物を指します。何らかの理由で、テストステロンの分泌が阻害されると、勃起や射精などを促進するドーパミンが増えず、勃起障害へと繋がります。また、男性ホルモンが減少すると平滑筋が十分に緩まず、陰茎に流入する血液の量が制限され、勃起障害を引き起こします。
外傷・手術のEDとは
「外傷によって陰茎が傷つく、後天的な陰茎の奇形」 「頭部外傷・骨盤骨折及び、それに伴う手術の影響」、こういった要因によって引き起こされる勃起不全が外傷・手術によるEDです。また、「勃たない」という一般的なEDのほかに、勃起時に陰茎が不自然に折れ曲がるペロニー病(陰茎形成性硬化症)もEDの一種として扱われます。
器質性EDの治療法
EDの原因は様々であり、原因の特定が難しいため、最近では最初から原因を究明することは少なく、まずはバイアグラやレビトラ、シアリスなどのED治療薬を試してみて様子を見ることから始めます。薬で効果がなかった場合は、血管系ではなく神経系の異常を疑い、他の治療法を試して行くという方法です。
神経が損傷を受けていると、脳から性的刺激を陰茎に伝えることができないため、いくら血流を良くする薬を使っても効果がないからです。
このようにED治療薬を試金石として使うことを「バイアグラテスト」と呼び、多くのED治療現場でおこなわれています。「バイアグラテスト」と呼ばれていますが、もちろんバイアグラだけを用いるのではなくその人の体質によってバイアグラが効かない場合もあるのでレビトラやシアリスといったED治療薬も当然、用いります。
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